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【ニュースリリース】 日本物流不動産評価機構で弊社島田英敏が講演

◎経済から見た物流不動産セミナーに約180人

JA-LPA1.JPGのサムネール画像 日本物流不動産評価機構(JA-LPA)は九月三日、都内でセミナーを行った。毎年開催しているセミナーで、今年が三回目。現在の経済情勢を中心に、物流不動産に与える影響について講演を行い、関係者を含め、約百八十人が参加した。

JA-LPA 望月委員長.JPG 望月光政委員長は「毎年、物流不動産の"旬"をテーマにセミナーを行っている。一回目は"立地"、二回目は"建物"だった。今回は"経済"を取り上げて、物流不動産の動向を解説する」とあいさつした。

JA-LPA 田中先生.JPG 基調講演は、日本政策投資銀行の田中賢治経済調査室課長が行った。ポイントは①世界同時不況の背景②日本経済は底入れしたか③日本経済の先行きをどうみるか――。世界同時不況の背景では「米国不動産のバブル崩壊があった。しかし、日本のバブルとの違いもある」とした。日本のバブルは、住宅価格が跳ね上がった結果、低所得者層には住宅が"高嶺の花"となる現象が起こった。しかし、米国のバブルではサブプライムローンで、低所得者層でも住宅が購入でき、バブル崩壊の被害が拡大した。サブプライムローンの問題点を、データで示しながら解説。滞納率の高さや、金融機関の無理な貸し出し、証券化によるリスク拡散といった内容を一つ一つ説明していった。さらに、景気の底入れについては「二〇〇九年の四―六月が、プラス成長に転じた。中身を見ても、輸出が回復し、過去の回復パターンと合致する」とした。そのため、底を打ち、景気回復は、今年度中は続くと予測した。一方で、政府支出と民間消費の影響も解説。「政府の経済政策が効を奏した形だが、これを民間内需がうまく引き継がないと、本当の景気回復にはならない」と警告。賃金減少による個人消費の落ち込みに加え、需給ギャップ、設備・雇用の過剰から、今後経済を牽引しなければいけない民間内需が弱いことを指摘した。「来年度には二番底がある可能性は否定できない」(田中氏)。


◎ファンドの資金を物流企業が活用する時代になる

JA-LPA 河田.JPG 物流不動産の動向については、イーソーコ総合研究所の河田榮司社長が講演。物流不動産のポイントとなる「物流」「不動産」「金融」の各業界の動きを解説。その後、物流不動産に及ぼす影響と将来像を語った。大型施設の増加による空き施設の価格競争は、「大型施設が埋まる状況が一巡しないと、収まらない。新規の大型物流施設の着工が減ってきてはいるが、一年ぐらいはかかるのではないか」とした。さらに、物流不動産市場の回復は「土地の仕込みなどを考えると二~三年後に大型物流施設の開発件数が増えるだろうと」予測した。その中で、今までの物流不動産ファンドと、物流企業のあり方が変化すると示唆。「今までは、物流不動産ファンドと物流企業が対立するところがあった。しかし、これからは、ファンドの資金を利用し、物流企業が物流不動産を開発するようになる」とした。ファンドが資金を運用したいという欲を、物流企業が見極め、活用していく力が求められてくる。


◎財務のプロは貸借対照表を見る

JA-LPA 島田先生.JPG ロジラテジーの島田英敏コンサルタントは、中堅・中小規模の物流企業のオーナー向けに、財務と事業承継を解説した。財務の分野では、「いかに、銀行からお金を借りてくださいといわせられる企業になるか」をテーマに講演。経営者は、損益計算書(P/L)を見がちだが、「銀行や税理士は、貸借対照表(B/S)を見る。創業からの利益・損失が分かる。お金の使い方、集め方、本当の体力が一目瞭然。経営者も、B/Sを見なければ、財務を好転することは不可能」と指摘した。また、減価償却資産の一覧表にも、「無駄遣いが分かる」とし、「会社に戻ったら、一度見てください。無駄な税金を払っている資産があるはずです」と語りかけた。事業承継分野では「不景気の今がチャンス。株の算定が低くなり、税金を抑えられる」とした。ただし、事業承継には「経営の承継と株式の承継の二つがある。また、税理士、銀行、従業員、同業他社などからみた事業承継は、いろいろな意味・捉え方がある。そのバランスが取れていないと、失敗する」(島田氏)。また、物納や、経営継続円滑化法、M&Aなどの事例を紹介。「売上高の五倍で売れると思っている経営者が多いが、そんなことはほとんどありえない。自社の財務を見て、他社が買いたい、売ってくださいという会社にしなければならない」とした。