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日本ロジスティクスシステム協会「公開制研究会」で講演

2011090901.jpg 9月9日(金)午後、砂防会館(東京都千代田区)にて、公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会(JILS)主催の「公開制研究会」が開催された。この公開制研究会は、物流現場の"人材"活用シリーズの一環。「物流現場における"人材"活用の現状と課題 ~派遣規制強化時代の「法令遵守」と「品質・コスト」~」と題された同研究会・第一部に、弊社コンサルタントの栃本浩昭(とちもと・ひろあき)が登壇した。

2011090902.jpg 冒頭、この数年、法改正が議論されている「派遣労働者法改正」の状況を解説。全国の労働局の動きやその背景にある「労働」に対する社会的価値観の変化を説いた。仮に、法改正が行われた場合、物流現場(物流事業者、自家物流など)で取れる選択肢は大きく二つ。物流業務そのものを請負として事業者に委託するか、従来、日雇い派遣に依存していたスタッフを自社のパート・アルバイトに切り替えレイバー―マネジメントしていくかだ。講演では、法改正に先駆けて、直接雇用化(=パート・アルバイトの自社化)に取り組んだ企業が、スタッフの生産性が向上することにより、作業人員が多いところでは40%減少し、センター収益が10%近く増えた事例を披露。また、実際の物流センターで取得した生産性データをもとに、派遣労働者と自社スタッフ(パート・アルバイト)の生産性が約1.5倍、支払い対価を勘案すると、業務によっては2倍以上違うことを指摘。最後に、物流現場の動きとして、夏前から、自家物流を中心に、法改正如何に関わらず「直接雇用化」を指向する動きが出始めたことを挙げ講演を締めくくった。

2011090903.jpg 第二部の講師は、弊社主催セミナーでも、直接雇用化の成功事例として、ご講演して頂いている株式会社アール・ケイ・トラック(㈱良品計画100%子会社)の柴嶺哲(しばみね・さとし)社長。冒頭、「良品計画」における子会社の機能を説明。今回は、そのなかでも「現場力が高い」と話題の新潟のセンターについての講演。柴嶺社長の考えには、「物流は人あってこそ」との思いが根底に流れる。とりわけ、波動性が高いアパレルを扱っている同センターでは、スタッフや女性社員の発案から、外部業者とともに自社で開発した「HASS」という種まきの仕組み、あるいは、数々の改善活動の結果、約18000SKUにも及ぶ膨大なアイテム数を抱えるネット通販物流における生産性向上の取り組みなどを披露。女性社員の登用でも知られる同社は、同センターの地域性もあり、スタッフの大半が女性であることに着目し、女性スタッフが働きやすい環境を整えることこそが、生産性向上に繋がり、結果的に、顧客(※同社は外販を行っている)のニーズにも応えていくことになると結んだ。女性幹部40%強、産休後の職場復帰率100%という同社の取り組みは、この10年、多くの物流現場が蔑ろにしてきた「人ありて」という点から、大いに示唆に富むものであった。(文責:延 嘉隆)